6/26 勾留理由開示公判 Aさんの意見陳述(要旨)


 新大久保周辺は、コリアンタウンがあり、在日朝鮮韓国の人たちがたくさん住んでいる。その街を、特に今年になってから頻繁に、差別主義者がデモ行進するようになった。「良い朝鮮人も悪い朝鮮人もみんな殺せ」と書いたプラカードを掲げ、「在日朝鮮人は日本から叩き出せ」と怒鳴り散らす、見るにも聞くにも耐えがたいデモだ。こうした暴力・殺意をあおる差別行動は、新大久保以外でも繰り返されてきた。
 6/16は、日曜日ということもあり、大勢の人たちがコリアンタウンを訪れていた。その6/16、差別排外主義者によるデモをもう許さないとの思いから、集まった人もたくさんいた。思い思いのやり方でデモに抗議していた。しかし、抗議した人のうち4人が警察に逮捕された。そのうちの一人が私だ。
 『レイシズム・スタディーズ序説』(*注)には、日本は、レイシズムの博物館のような国で、門地差別・先住民や旧植民地の人・移住労働者に対する差別が日本の近代を貫徹している、とある。野宿者・障害者・ジェンダーなど、差別に抗する社会運動は、常に国家権力から弾圧されてきた。差別によって人々を分断させて支配を続けようとする権力は、差別する側ではなく反差別を訴える側を常に弾圧してきたのだ。弾圧によって運動体を分断し、無力化させ、運動をつぶす。国家権力の体質は、大逆事件で幸徳秋水らがまともな裁判も受けられないまま処刑された100年前から変わっていない!

 私は、6/16に逮捕され、それ以降、26日の今日まで、不当に勾留され続けている。そして、弁護士以外の人との面会を禁じられ、外とのつながりが著しく制限されている。行動の自由はまったくない。
 6/18に検察官による取調べがあり、その検察官による勾留請求を受けて、翌日19日に裁判所が10日間の勾留を決定した。
 検察官の勾留請求を受けた裁判所が勾留を却下するのは、1%以下だという。つまり、検察が勾留請求したら裁判官が機械的に認めてしまい、ほぼ100%勾留決定となるということだ。そして、被疑者を、その日から最長20日もの間、警察の管轄である留置場・代用監獄に閉じ込めてしまう。警察の管轄下だから、警察はやりたい放題に取り調べができてしまう。こうしたシステムが、数々の冤罪の温床となっている。代用監獄は国際的に批判されているにもかかわらず、改善されていない。
 裁判官が決定した私の勾留理由は、私が住所不定であること、罪証を隠滅することを疑うに足りる相当な理由がある、逃亡または逃亡すると疑うに足る相当な理由がある、という3つだった。以下、これらはまったく理由にならないことを述べる。

 住所不定について。裁判官の勾留質問のとき、生年月日・本籍地・氏名が記載されていたのに、現住所欄だけが不定と書かれていた。氏名・生年月日・本籍が特定されているのに現住所がわからないはずはない。さらに、裁判官の勾留質問を受けている6/19に、警察が、私の現住所を家宅捜査している。裁判所が私に「住所不定だ」と言っていたその日、裁判所は現住所地の捜索令状に許可を出していたのだ。裁判官は、私が住所不定ではないと知っていたのであり、裁判官が勾留理由をでっちあげている。
 罪証隠滅の恐れについて。「現行犯逮捕」なのに、証拠をどうやって隠匿することができるのか?その具体的な理由を明らかにしてほしい!
 逃亡の恐れについて。私は早く解放され、いつもの生活に戻りたい。自宅には大切な物がたくさんある。それを放棄して逃亡するなどありえない。

 警察・検察・裁判所が一体となって勾留理由をでっちあげているとしか思えない! 勾留は不当であり、ただちに私を自由にしろ。

(*注)レイシズム・スタディーズ序説(2012年、鵜飼哲、酒井直樹、テッサ・モーリス=スズキ、李孝徳 著、以文社 )